山頭火随筆集 (講談社文芸文庫)

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レビュー : 3
著者 :
tofu2choさん  未設定  読み終わった 

「物を味わふ、それこそが生きるということなのだ」。初めて読んだとき衝撃を受けた。ラーメンを食べるのも本を読むのも、あるいは歯を磨くのも風呂に入るのも、僕にとってそれはただ単に手段であって消費すべき対象に過ぎなかった。
 味わう、それを本当に地で行っている人間がどれほどいようか。キンモクセイの香りも、肌が凍りつく寒さも、多くの人間が気にせず生きているのではないか。
 種田山頭火の随筆は、私たちがみな詩人であること、詩人であるべきだということを気づかせてくれる。
 目で楽しみ、肌で感じ、鼻で嗅ぎ、音で驚く。あるいは舌でひと時の幸福を感じる。これこそが生きることだ。そしてほとんどの人が備わっているその能力こそが人を詩人にし、生を確実なものとしているのだ。
 この本を読んでから私は、物を大切にするようになった。水を必要な分だけきっちりと使うようになった。漠然と音楽を聴くのではなく、真剣に音と向き合うようになった。学校に行く通りに人様の庭に咲いている花に気づくようになった。
 僕にとってこの本は、人生の指針を根底から変えることとなった本。ときどき、人生に慣れきってしまったとき、再び読み返して再発見している。

レビュー投稿日
2009年12月12日
読了日
2009年12月12日
本棚登録日
2009年12月12日
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