(No.13-11) ミステリです。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『エスポー警察の巡査部長マリア・カッリオは、女性限定のセラピーセンター、ロースベリ館での講演を依頼された。だがその講演から数週間後館の主であるセラピストが行方不明になり、雪深い森でガウンとパジャマのまま死体で発見される。当時館に滞在していたのは、訳ありげな女性ばかり。北欧フィンランドを舞台に、小柄な女性警官マリアが事件を追う。』
最近私はスゥエーデンミステリに少し馴染みが出来ましたが、これはフィンランドミステリ。
あとがきでフィンランドという国について説明がされていたので、北欧諸国としてひとまとめだったイメージから少し分離することができました。
きっとあちらの国から見たら、日本、中国、韓国だってひとまとめにしか思えないだろうなあ。
主人公マリアは自分のことを「ずいぶん小柄」と言っていますが、160センチを少々上回る程度の身長。日本で身長がそのくらいある女性は、ずいぶん小柄とは言わないよね。日本人との違いを感じます。
この話はシリーズ物で、シリーズ第4作目だそうです。でも、主人公も内容的にも飛躍した作品だからこれから翻訳出版することに決めたらしい。話の流れで以前のことが時々出てきますが、特に不都合はなく読めました(まあ、だから出版社はこういうことにしたのでしょうが)。
スゥエーデンミステリの時も思ったのですが、北欧の高福祉や女性が活躍しているという日本でのイメージと、小説の内容のギャップには戸惑います。
男性優位で、男は、女は、こうあるべきという不文律のようなものを持っている男性がすごくたくさんでてくるから。
もちろんそうでない男性もいて、マリアの夫もとっても良い人なんですが。
警官仲間では、上司の警部はなかなか出来た人。同僚も女性に対等に接してくれる人もいるんだけど、もうめちゃめちゃマッチョ信仰の同僚もいて腹立たしいこと!毎回マリアが口げんかしてるペルツァです。
なんてやなやつ!とずっと思って読んでましたが、そのやなやつぶりは最後まで変わらなかったのに、終わりの方になったら何となく許せる感じになっちゃった。これからも彼は変わらないだろうけどね。
半分くらいまで事件の解明が進まず、何となくそもそもこの事件って何なのって感じだったので読むスピードが上がりませんでした。
それが他の大事件が起こりマリアや同僚は心に大きな傷を負い、それでもというよりそれだから仕事に没頭していくあたりから、読んでいる私もこの話の中に取り込まれていきました。
真実を知ることで逆に不幸を引き寄せることもあるんじゃないか、そんなことも思いました。それとも真実を知らせたことそのものが復讐だったのか。
最後、真相はこうだったのだろうということは分かりましたが、すっきりした解決にならず不満感も残ります。
でも、とっても心配だったあることは良い方向が見える感じで終わるので、それには満足しました。
次の作品は、この事件後数ヶ月のことだそうです。近く出版の予定とか、楽しみです。
- 感想投稿日 : 2013年3月5日
- 本棚登録日 : 2013年3月5日
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