真壁和裕先生(総合科学部環境共生コース)ご推薦
このアーウィン・ショーの短編集は大学1年のときの英語の教科書だった。前期試験の問題は表題作の「夏服を着た女たち」で,後期試験では「ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ」が出題された。そのせいか,常盤新平訳を読む際にも,私にはこの二つの話にはどこかスイート&ビターな青春期特有の思いがついて回る。NYを舞台にした都会的で洒落た雰囲気の「夏服を…」は,授業期間中にクラスの男女の間で大きく評価が分かれた。男子学生の多くは主人公に賛同したのに対し,クラスに1割しかいなかった女子学生たちはみな主人公に極めて批判的だった。私も賛同したクチで,当時は「一緒にこの話に共感してくれる女友達がいたらなあ」と思っていたほどだったが,現在までにそういう女性に出会えたことはない。今の学生たちは,果たしてどう感じるのだろうか。太平洋戦争より前に書かれたこの珠玉の短編集が21世紀の今日なおビビッドなリアリティを保ち続けていることを思うと,世代ギャップをつい感じてしまう今の学生においても,受け取り方は案外変わっていないかもしれない。ぜひ今の若者の感想を聞いてみたいものである。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
My recommendations
- 感想投稿日 : 2015年7月6日
- 本棚登録日 : 2015年7月6日
みんなの感想をみる