新型コロナ時代のランニング

著者 :
  • KADOKAWA (2020年10月28日発売)
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本棚登録 : 25
感想 : 5
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Withコロナのニューノーマル時代のランニングの効用を説いた書籍である。2020年は新型コロナウイルス一色の一年になった。人々は感染防止からStay Homeの時間が増えた。このマイナス面として運動不足がある。その解決策としてランニングを提案する。初心者がランニングを継続できる方法も紹介する。
本書で好感を持てる点はニューノーマル時代を肯定的に捉えていることである。おうち時間が増えたことで「家族とのコミュニケーション、散らかった部屋を片づけること、健康づくり……。これまで気づかなかった、あるいは気づいていても忙しさで手つかずになっていたことに向かい合う時間ができた」と(3頁)。
著者はアウトドア派であり、イベントに生計を負っている面も大きいと予想される。それでも「元の生活に戻りたい」一辺倒ではない。新型コロナウイルス感染症拡大を契機としてテレワークやDX; Digital Transformation推進の機運が高まった。政府にもデジタル庁設置の動きがあり、国家的な課題と認識されている。コロナ以前から生産性向上や働き方改革からテレワーク推進やデジタルシフトは言われてきたことである。ところが、日本は抵抗勢力の声が根強く、昭和のやり方を成功体験と思い込む人々は脊髄反射的に抵抗する。抵抗勢力がのさばる日本をIT後進国との辛辣な批判もある。著者の思想の柔軟性は高く評価したい。
ニューノーマル時代は人々の価値観も変化する。コロナ以前は他人や世の中と比較して自分はどうかという相対的な物差しで優越感を抱く人が多かった。しかし、リモート生活で人との接触が減ると、他者と比較する機会も減り、優越感を得る機会も失われる。このWithコロナ時代に身につけておかなければならないものは自己肯定感である(151頁)。
この指摘には大いに共感する。高級食材を食べているから美味しいのではなく、自分が美味しいと感じるものを食べているから美味しい。値段と味は比例しない。自分が満腹と感じたら、それ以上食べる必要は感じない。飽食には価値がない。ライフスタイルや人生観についても考えさせられる書籍である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2020年11月28日
読了日 : 2020年11月28日
本棚登録日 : 2020年11月28日

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