『政治家の覚悟』(文春新書、2020年)のベースとなった書籍である。本書は民主党政権の東日本大震災対応を批判している。「千年に一度という大災害に対して政府がどう考え、いかに対応したかを検証し、教訓を得るために、政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です」と主張する。
ところが、上記の記述は新書版『政治家の覚悟』には収録されていない。これは自分にとってブーメランになるから削除したのではないかと話題になった。文春新書編集部は「菅氏が野党時代に民主党政権を批判した内容で旧聞に属するため、編集部の判断で収録しない構成案を作成しました」と説明する(文春新書編集部「文春新書『政治家の覚悟』(菅義偉著)について」2020年10月27日)。
2021年の緊急事態宣言では動きの鈍い菅義偉首相に対して小池百合子知事らが要請して実現した構図になっている。ところが、文春は小池知事を批判し、官邸を擁護する記事を出している(広野真嗣「小池百合子都知事が緊急事態宣言前に放った“悪手”…東京都の感染者が減らない本当の理由」文春オンライン2021年1月10日)。ここには出版社の立場もあるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2021年1月23日
- 読了日 : 2021年1月23日
- 本棚登録日 : 2021年1月23日
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