秋の花 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M き 3-3)

著者 :
  • 東京創元社 (1997年2月16日発売)
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本棚登録 : 2567
感想 : 241
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(ネタバレ)
秋の花。秋海棠。
田山花袋はこの花から自分の家を断腸亭と呼んだ。
秋海棠の美しさは「断腸の思い。腸を断つほど苦しみ」そこから「人を思って泣く、涙が落ちて、咲いた」という美しいエピソードで締められる。
恐ろしく上手な作品。この作品を円紫(作者北村氏?)は「御神酒徳利」だという。もともと対だったモノが一つになってしまった奇妙さ。不安。いや正しくは一つになったのではなく、一つにしてしまったと気づいた時の気まずさ、これをあるものは「神の見えざる手」と呼び、あるものは占に答えを求める。
だけど、許してもらうとか物事がはっきりするには、現実の『救おう』とする優しさしかないという。
残酷でまっすぐなもの語り。
この残酷さや一途さは「ひばり」同じ。スゴイな北村薫。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2010年3月12日
読了日 : 2010年3月11日
本棚登録日 : 2010年3月11日

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