コーチング―言葉と信念の魔術

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2001年8月30日発売)
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本棚登録 : 626
感想 : 76
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 『采配』(http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/4478016267)が面白かったので、近所の図書館にあった本書も読んでみました。
 コアの部分でかなりのところが重なるので、また、読んだ時期が立て続けだったのもあり『采配』ほどのインパクトはなかったが、落合博満という人の考え方をじっくり知ることが出来たように思います。

 本書でも、「いかに選手自身に考えさせ、気づかせるか」というコーチングの根幹は繰り返し説かれています。
 著者自身、常にそれを実践してきたわけですが、著者が繰り返し力説してしまうほど、ほとんどの人はこれができていないと言うことでしょう。人間、どうしてもわかりやすい結果や正解といった「楽な方」に飛びつきがちです。が、結果や正解だけ得ても人間は成長しないし、何より充実感がないんですよね。そういう自分を省みるとき、著者の生き方はカッコ良く映りますし、著者の言葉には耳が痛いこともあります。

 後半、著者のプロフェッション論も少し出てきますが、「オレ流」を自分勝手か何かと思っている人には是非一読し、誤解を解いて欲しいと思いました。
 プロとして自立し、その名に恥じない技術を磨き続ける。そして、その磨き上げた技術を提供することでチームに貢献する。
 と同時に、自分がチームから何を要求されているのかを常に把握し、それに応えられるよう全力を尽くす(例えば、チーム事情で守備位置の変更を求められれば応じる、など)。そして、どこからも必要とされなければ潔く終わる覚悟を持つ。
 ここまで責任と覚悟をもって仕事に臨んでいた著者を自分勝手と評するのは、あまりに皮相的な評価ではないか、と思ってしまいます。

 非常に得るところが大きい本でした。しばらくしたらまた読み直したい一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年7月9日
読了日 : 2012年7月9日
本棚登録日 : 2012年7月9日

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