陰陽師 4 勾陣 (ジェッツコミックス)

著者 :
  • 白泉社 (1999年9月1日発売)
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本棚登録 : 550
感想 : 19
5

 安倍晴明&源博雅コンビによる平安怪異謎解き絵巻の第三巻。

■蟇(ひき)

 冒頭、美しい月夜に誘われるように、笛を吹きながら夜道を歩く源博雅。博雅は笛に没頭していて気づかないが、彼の笛の音によって屍肉を食らう鬼は姿を消し、盗賊も涙を流す。
 …これ、『古今著聞集』のエピソードをアレンジしてるんですよね。それ以外にも、源博雅については一巻の玄象を取り戻す話も『今昔物語集』に見える話を元にしているわけですが、元ネタも読んでみたくなる面白さです。
 あと、こう言っちゃ何だけど、自分の能力に全く気づいていないところは「涼宮ハルヒ」的と言えるかも知れません(笑)。

 このエピソードは、応天門の変が舞台になっているのですが、小学館の学習漫画『日本の歴史』で読んだ『伴大納言絵詞』を元にした話とは全く違う陰謀劇が新鮮でした。

■白比丘尼

 本巻で圧巻なのはこの話でしょう。
 原作の夢枕獏の小説では、かつて人魚の肉を食べたため、永遠の命を得てしまった白比丘尼の体に溜まる「禍蛇」を、三十年に一度祓うだけでした。しかし、本作では、永遠に生き続ける辛さに耐えきれなくなった白比丘尼が「死ぬための手段」に出て、儚くも美しい悲劇に昇華されています。
 晴明の、覚悟を絞り出すような台詞が読んでいて胸に刺さりました。
「禍蛇を 祓わねば
 女は鬼になる

 博雅…
 おれは
 人は殺さぬが…

 鬼は退治するのだよ」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2012年12月19日
読了日 : 2012年12月19日
本棚登録日 : 2012年12月19日

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