ひょっとするとNHK「ザ☆ネットスター」にたまに出てたキャラの濃い学者さん、というイメージがあるかもしれない著者。
そんな著者らしいと言うべきなのかもしれないのが本書です。
情報法と知的財産法の専門家である著者が、ネットワークを切り口に法学入門を書いたかと思いきや、読んでビックリしました。
いきなり法学部の基礎法学や外国法で学ぶような英米法と大陸法の話が始まります。法学部の学部生は、英米法や大陸法系の授業の予習にまず本書を読むべき、それくらい骨太の議論がわかりやすく説明されています。
でも、いくら法学の基礎の基礎とはいえ、時空を越えた遠くの遠くから説明してて意味あるのかよ…と思ってたら、法的なモノの考え方を示すと同時に、ネットという新しい社会で生まれている様々な慣習について、それがどういうことかもわかりやすく説明されていて二度驚きます。
おそらく、歴史の中で法思想や法制度ができあがってきたのと、人類にとって新しい未開の地であるネット社会で新しいルールが形成されていく流れがちょうど重なるんでしょうね。
歴史的な経緯を押さえながら、法や権利に関して骨太の理解を得ることで、ネットに関する問題の見え方が変わってきます。その上、骨太の理解が土台にあることで、より息の長い(射程の長い)議論をすることができます。本書でも、後半ではネット社会の"社会"の側面が強くなってきて、ネットと社会(政治)の関係性にまで話が及んでいきます。
ネットと法律(特に著作権)を"しっかり"考えたい人に、是非一読をオススメします。僕も読み返したくなってきました。
- 感想投稿日 : 2012年6月25日
- 読了日 : 2012年6月25日
- 本棚登録日 : 2012年6月25日
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