高知を舞台にした地方系(?)青春ノベル。ジブリでアニメ化されたので、知っている人は多いと思います。というか、青春小説の金字塔的扱いになっているので、むしろ本読みで知らない人の方が少ないでしょう。高知弁が読んでいて心地よく、テンポよく読み進められる作品です。
あらすじは、東京の大学に進学した高知出身の拓が、武藤里伽子という同級生が東京の大学に通っていることを知り、高校時代に思いが戻ってゆく……という内容。過ぎ去った時が確信させる、拓の里伽子への想いがキモ。
爽やかか……、と言われると確かに爽やかな青春物語ではありますが、それは今自分が青春というものとかけ離れた年齢になったからこそ感じることであって、高校生なり大学生なりからの目線から見ると、悩んだり、傷ついたり、振り回されたり、微妙な心の動きが等身大に感じられて、青春の爽やかさよりも、淡さが目立ってしまうかもしれません。
どちらかというと、青春を終え、社会の酸いや甘いを感じ始めた年齢にこそ、心に響くもののある物語だと思います。もうね、ぶっ叩かれて、ぶっ叩き返すところか、サイコー。青臭いというか、うらやましいというか。
……ああ、そう、あれよ。「耳をすませば」みたいなものよ。話の内容はまったく違うけど、心に湧き上がるこの感じはあの映画を今見る感覚と似ている。
なお、続編「~II アイがあるから」もありますが、個人的には本書のみで完結して良い物語だと思っています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エンタテイメント
- 感想投稿日 : 2015年9月2日
- 読了日 : 2015年9月2日
- 本棚登録日 : 2015年9月2日
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