レインツリーの国 (新潮文庫)

3.69
  • (1782)
  • (3059)
  • (2671)
  • (625)
  • (151)
本棚登録 : 24051
レビュー : 2404
著者 :
ともさん 小説   読み終わった 

社会人3年目の「伸」と「ひとみ」の恋愛小説である。
が、健聴者と難聴者(中途失聴)の恋愛を描いたものであることが、普通の恋愛小説と異なる点である。

なんの予備知識も持たずこの小説を読み進めていったので、僕も「伸」と同じで第一章の時点では「ひとみ」が難聴であるということに全く気が付かなかった。エレベータの重量オーバーブザーに気が付かなかった「ひとみ」に、僕も「伸」と同じように、恥ずかしくも苛立ってしまった。僕の心も極めて狭いなあ(笑)。という感じで、主人公の気持ちと重なってしまうくらい、有川さんの心情描写は上手いなと感心してしまう。

“伸さんって声は高いほうですか、低いほうですか?”(P56より引用)
「ひとみ」がデートをする前に、「伸」にメールで訊いた台詞であるが、この台詞にすべてが含まれていたのだなと僕は思う。
実際に会ったときに、相手の声が聞き取りやすいか、聞き取りにくいか、難聴者の「ひとみ」には重要なことだったのである。

「伸」の提案で髪を切った「ひとみ」が、徐々に吹っ切れて、性格が前向きになっていって本当に良かったと思う。
「伸」と「ひとみ」が聴覚障害というハンデを乗り越えて結婚してくれたらいいな。

この小説は、健聴者と難聴者の恋愛という極めて難しいテーマを主題にしているが、本質は普通の健常な男女と変わらない普通の恋愛と全く変わらない。相手が難聴者でなくとも、相手を思いやることは大事だし、それが無くなったら恋愛としては続かない。
読後は非常に後味が良く、きっと彼氏(彼女)、夫(奥様)を今まで以上に大事に思わねばという気持ちになると思います。

レビュー投稿日
2012年9月16日
読了日
2012年9月11日
本棚登録日
2012年8月29日
5
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『レインツリーの国 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『レインツリーの国 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『レインツリーの国 (新潮文庫)』にともさんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする