やさしい人 愛蔵版

  • PHP研究所 (2015年1月9日発売)
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心理学者の加藤大諦が「やさしさ」について論じた本。

目次は
1.なぜやさしくなれないのか
2.やさしさへの道しるべ
3.本当のやさしさ・偽りのやさしさ
4.甘えの超克
5.自分と向き合う
6.やさしさは幸せの源

本書の主眼は「人の目を気にする生き方」をすると結局狡く生きることになり、「自分を認め、楽しむ生き方」をすると周りに目を向けられる「優しいひと」になれるというもの。

以下、いいなと思った言葉

・義務ですることは長くは続かない

・こうしたらこんな風に返ってくると思う「やさしい行為」は「愛の賄賂」である。見返りを求めないことこそ「やさしい心」

・恋人と喧嘩しても、事故に遭わないかと帰りの電車が気になる。それがやさしさである。

・それを言う動機を考える。それがやさしさ。

・やさしい人とは心が満足している人である。

・不満な人とは、自分の気持ちを汲み取ってもらいたいのに、相手から汲み取ってもらえない人。

・自分のいう事をその人が聞いてくれれば、その人はやさしくなる

・人に嫌われることをしながら、人から尊敬されようとする人がいる。

・「ヒナギクは、だれも草の中に埋もれている自分に目をとめるものがないことや、自分がまずしいつまらない花だという事は少しも気にしませんでした。それどころか、心から満足し、まっすぐにお日様の方を見上げながら、空で囀っているヒバリの歌に、うっとりと聞きほれていました」

・自分に満足するとは、今の自分の在り方を「これでいい」と思う人。「にもかかわらず」を考えられる人。

・今、自分がここにいられることが幸せなのである。幸せになろうと努力しているではない。

・そもそも競うことがおかしい人と競っている

・自分に欠けているところ認めることで、やさしさが生まれる。

・好感を持たれる人は一段づつ昇る。威勢を張る人は一気に昇ろうとする。

・相手から取ろうとする。最後にはもともと自分の持っているものまで失う

・「これさえあれば、あとは何もいらない」というようなものをその人が持っているか。

・劣等感で悩む人は「自分の好きなことが無い」「周囲の人と張り合っている」

・自分の本当の気持ちを否定することはエネルギーを使う。「いいなー」とちゃんと言う事で助かることもある。

・なんで自分は元気がないのだろうと考えることで、元気になる道が見える

・やさしさの環境とは気を遣わなくていい環境

・心が満足していないときはなるべく人と会わない

・神経症的傾向の強い人は「その夢」を実現すれば、今抱えている問題が一挙に解決するとおもっている。

・夢は仲間から生まれる。皆と騒いでいるうちに戦う意欲が湧いてくる。

・心にゆとりがあると、自分の出来ることから始めようとする。

・やさしさを売り込む人は、大抵だます人だ。
 (誇示されたやさしさは冷たさだ)

・自分一人でも生きていけて、初めて人を助けることができる。

・「悩める人を救う」という行動の動機は、だいたい自己不在や自己無価値観である。

・人は「恩」を着せる人からどんなにやさしくされても嬉しくない。

・「人類を愛することは簡単だけど、隣人を愛することは難しい」

・やさしい人は見えないところをきちんとしている

・自分の方が「この辛い気持ちを理解してくれ」と言ったときに、相手の気持ちを汲み取ることは出来なくなる

・甘えてる人は相手と「コミュニケーション」していない

・恨みとは相手に罪悪感を抱けという要求

・「人知らずして憤らず、亦君子ならずや」

・憎しみが、今、自分に与えられているモノに対する感謝を忘れさせる

・甘えているという事は、いつも相手に何かを期待している

・いったん恋人になると甘えが出る。そこで自分のすることすべてに称賛を求める。しかし期待した反応はなく傷つく。傷つき続けると相手が嫌いになる。そこでまた別の女性を求める。

・これ以上誉められようとするのは、ウナギを食っている傍からトンカツを食うようなものである。

・認められようとして無理をしない

・自信は周囲の同意を必要としない、自己陶酔は周囲の同意を必要とする

・リスが栗の実を好きだと理解したら、他の動物が「あそこにバナナ」があると言っても平気。逆に「そう好きでもないリンゴ」を食べてるときは周囲がどう思うか気になる

・人からの称賛よりも、自分の小さな喜びの体験を選択する

・何にも億劫になった時、「誰も助けてくれない」と気づくこと。捨てるものを探す。

・無理をやめる

・人から称賛を得ようとすればするほど、自分を信頼することができなくなる

・自分を頼りなく感じる人は、他人からの承認を求めるが、決して得られないという事に気づいていない

・あなたは寛大ではないのに寛大のフリをした。憎んでいるのに許したフリをした。

・執着性格者の人は凍傷を起こしている。治してくれる人ならだれでもいい。

・一つ一つのことを大切にすることである。一つ一つのことをきちんと終わらせることである。

・運命を乗り越えれば、その分だけ心は広くなる

・悔しいとか許せないという感情をうまくコントロールするのが自我である

・好かれたいという願望と認められたいという願望は矛盾することがある。(自慢話)

・心理的に健康な人は功名や成功より、陰徳を積む

・愛を知らないものは優越こそが唯一の喜びとなる

・生きる道はたくさんあるのに、これしかないと思ってしまうのは心理的成長の失敗と環境によるものである。

・人を判断するときに社会と心の2眼をもつ

・人が幸せになりたいという願いはそう強いものではない。


そんなに長くないながらも、濃厚でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年5月27日
読了日 : 2020年5月27日
本棚登録日 : 2020年5月27日

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