「月がふりかえる」
「月景石」
「残月記」
の3編が入っている。
いずれも主人公がとんでもない苦難に遭うディストピア小説で、後ろに行くほどに悲惨さが増していく。
ディストピアという事で生命が脅かされる極限状態が出てくるが、そこでは世間一般での価値観でなく、自らのうちから湧き上がる本能(生と性)や愛・尊厳といった事柄と向き合うことになる。
終始、暗い話が続くが色々あるけど安楽な現実社会から、もしこのようなディストピアに落とされたら自分ならどうなるだろうとは夢想する。
明日、死ぬかもしれない、どうにか生きたいと思う縁を考えさせられる小説だった。
特に残月記は架空の疫病を下地としながら見事に世界観が作り上げられている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年12月29日
- 読了日 : 2024年12月29日
- 本棚登録日 : 2024年12月29日
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