湯どうふ牡丹雪 長兵衛天眼帳

著者 :
  • KADOKAWA (2021年2月26日発売)
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感想 : 8
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長兵衛天眼鏡の第二弾

江戸の巷に起こる様々な揉め事を、
老舗眼鏡屋主人・長兵衛と、小網町の目明かし・新蔵が人情に支えられた知恵と、深い洞察力で解決してゆく。

物語毎に紡がれる
珠玉の言葉達が刺さる

◯蒼い月代
巨額の持参金を目当てに、大店の米問屋から婿を取った小網町の白扇屋・吉野家の当主・四五六とその娘おそめは、お預けにしている床入りを餌に無理難題を吹っかけ、賄い女との不義を画策するが…

人は、話をつなぐ度に、
我知らず話を盛るのが常…


◯よりより

「栴檀は双葉より芳し」

長崎から戻った息子・敬次郎は、すっかり「オランダかぶれ」となっていた。
行く末を案じた長兵衛は、キセルの政三郎の口利きで研ぎ師・研ぎ常兄弟の元へ修行に出す。

合理主義の対極とも言える指導…。
一言の指示もなく、何日もひたすら放っておかれた敬次郎は…

長崎の小料理屋「びーどろ」の女将の餞別といい、研ぎ常の指導といい、現代の若者達ではとても受け入れられる事はないだろう。

その是非はともかく、
崇高な物事の伝達には、受け取る側の資格が問われたという事だろう。

敬次郎もまた栴檀で良かった…


◯秘伝
小網町の鰻屋・初傳の主人・傳助(五十二歳)。
その三軒隣の薬種問屋・柏屋の主人・光右衛門(六十一歳)。
その道一筋、名人の域に達した男二人の生き様と幕の引き方。

「明日は味方」

そのエッセンスとは…


◯上は来ず

上は来ず
中は朝来て昼帰る
下は夜来て朝帰る
下下はそのまま居続ける

十年に渡り、室町の冬場の夜回りを請け負う万年橋の鳶宿・豊島亭の親方・安次郎との出会い。

時を経て…
再びその男の名と遭遇したのは、
長兵衛が長年に渡り贔屓にしてきた芸妓・純弥の為に尽力し、その望みを叶えてやったという満足感の中だった…


お座敷遊びが男の夢などとは爪の先程も思わないが…

「上は来ず」

肝に銘じよう。


◯湯豆腐牡丹雪

新蔵の強い勧めで、武蔵野は飛鳥山の名湯・鷹の湯へと出掛けた長兵衛達は、
極楽の湯と、絶品の湯豆腐、至高の按摩に酔いしれるが、その真夜中…
なんと「騙り」の嫌疑をかけられ村の自身番の元に引き出される。

村田屋の手代頭を騙った与四郎という男の真実は…

その湯豆腐、 
食べてみたいなぁ…

◯突き止め
ろくでなしの母親と、その母に我儘放題育てられたバカ息子は、働き者だった亡き父親似の娘・えみにタカリ続ける。
度重なる火の不始末から施設送りとなった母が、えみの夫・新三郎にねだって買った富くじは…

珍しく、
長兵衛・新蔵コンビの出番は殆どなし。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年3月20日
読了日 : 2021年3月20日
本棚登録日 : 2021年3月20日

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