デミアン (岩波文庫 赤435-5)

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本棚登録 : 815
レビュー : 100
制作 : 実吉捷郎 
yamadoriさん 外国文学   読み終わった 

30年以上ぶりの再読。
懐かしい学生時代が思い出された。かつて住んだ街とあの頃の想いと。

「カインのしるし」というアイデアはオリジナルである本書を読みなおしてあらためて素晴らしいと思った。物事を違った視点で見るということ。額にしるしを持った人間がいるということ。マンの『トニオ・クレエゲル』にも「しるしのある」という表現がフツーに出てきている。『ハリー・ポッター』にも。

それから「ふたつの世界」というアイデアも素晴らしい。子供時代の、危険のない、矛盾もない、家族で構成された世界がひとつ。それと、家族から切りとられた、先の予想がつかない、混沌とした世界がもうひとつ。この「ふたつの世界」は他にもいろいろ敷衍できて便利だ。

物語は最初、主人公エミール・ジンクレールがひょんなことから悪党の手に落ち、破滅の淵まで追いつめられる。が、謎の転校生マックス・デミアンのひと睨みで問題はいっぺんに解決。読者はスリリングな冒頭から、胸のすくカタルシスを味わえる。
しかしその後の展開はどんどん観念的に、さらには神秘主義的になり、最後の方はもうオカルトかと・・・、いや意識革命といおうか・・・。エヴァ夫人など、本当に実在している女なのかどうか疑わしくさえなる。

いずれにせよ、世界大戦の黒い雲が彼らの頭上に迫りつつある。ジンクレールンやデミアンは果たしてこの後、彼らの新しい理想の世界を築くことができたのだろうか?

レビュー投稿日
2018年11月24日
読了日
2018年11月23日
本棚登録日
2018年11月23日
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