松岡正剛さんいわく、世阿弥は中世のスーパースターだとのことで、いつか読んでみたかった世阿弥関係の本。100分De名著の「風姿花伝」に続き、瀬戸内寂聴さんの本書を読んでみました。
晩年、いわれない理由で島流しになる世阿弥が佐渡に向かうところからストーリーが始まります。道中、12歳にして足利義光に寵愛されたあとの栄光の日々と、人生後半での人々との別れや、どちらかというと不遇な日々が回想されます。ストーリーの中では、「離見の見」「秘すれば花」「幽玄」「男時女時」など、世阿弥の哲学がさりげなく紹介されます。
瀬戸内寂聴は本書を書き終えた後、抜け殻のようになったそうです(あとがきによる)。世阿弥の生涯が淡々と綴られつつも、あちこちに華やかさや哀しみがちりばめられている。きっと世阿弥の能も、この文書のような雰囲気を纏っていたのではないかという気がしました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年9月30日
- 読了日 : 2014年9月30日
- 本棚登録日 : 2014年9月30日
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