竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)

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本棚登録 : 626
レビュー : 86
著者 :
とし長さん ホラー・怪奇・幻想・パニック   読み終わった 

 5編収録の短編集。

 今まで読んできた恒川さんの作品と比べると、少し幻想色や異界の雰囲気は薄目かなあ、という印象を持ちました。と言っても奇想あふれる短編もありそのあたりはさすが恒川さんと言うべきかなあ、と思います。

 もっとも気に入った短編は『ゴロンド』。本のタイトルでもある竜の一生を描いた短編です。
 童話のような設定と語り口、そして主人公のゴロンドを始め出てくる竜たちの可愛さに癒される話でした。

 ほかの短編では『迷走のオルネラ』はラストが印象的。冷ややかな怖さがラストに残る短編です。系譜としては『秋の牢獄』に収録されている「幻は夜に成長する」と似ていると思います

 『鸚鵡幻想曲』はいきなりの展開に唖然としました(笑)
 解説によると行き当たりばったりで書かれた作品だそうで、そう考えるとある意味納得でもありますが。こんな不思議な物語を成立させるのはおそらく恒川さんくらいしかいないのだろうと思います。色彩豊かな映像がすっと頭の中に浮かんでくるのも恒川さんらしいです。

 全編何かしらのメッセージが込められていそうな、いなさそうな不思議な読み心地の作品ばかりです。読み終えた時の感覚は、カフカの短編集を読んだ時と少し似ている印象を個人的に持ちました。腑に落ちないけどなぜ腑に落ちないのか分からない……そういう感覚です。

レビュー投稿日
2013年9月15日
読了日
2013年9月15日
本棚登録日
2013年9月13日
2
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