東亰異聞 (新潮文庫)

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本棚登録 : 3756
レビュー : 420
著者 :
とし長さん ミステリー・サスペンス   読み終わった 

 帝都・東亰では火炎魔人や闇御前といった、人とは思えない者たちの起こす事件で不安に包まれていた。一連の事件に興味を持った新聞記者の平川は、大道芸師の万蔵とともに調査を開始するが…

 面白い要素はいろいろあったものの、不満点も多かったのが正直な印象。

 ミステリとして面白かったのは、犯行の動機。お家騒動が裏にあるのは、平川の調査の過程で分かってくるのですが、なるほど、そっちか! と虚を突かれました。

 ただ、動機については伏線はあったものの、ややとってつけた感があったのも事実。本の中ではさらりと触れられたくらいにしか書かれていなかったので、「え? そんなに追い込まれていたの」と、ちょっとぽかんとなってしまったのがもったいなかったです。もうちょっとその部分の書き込みがほしかったかなあ。

 平川と万蔵のキャラも今一つ伝わってこない。読んでいて、どっちがどっちか分からなくなることもあって、少し感情移入しにくかったです。

 そして、この本の評価を分けるのはラストだと思います。これをどうとらえるかによって作品の印象は、大きく変わると思います。

 個人的には、風呂敷広げるだけ広げて、終わらせたという印象。読んでいて「残りページ少ないのに、こんな展開にして大丈夫?」と思ったのですが、その不安が当たってしまった、という感じでしょうか。

 読み終えた後のもやもや感が、どこか同じ小野不由美さんの作品『魔性の子』に通じるものがあります。

 十二国記シリーズの序章的作品ということで読んだ『魔性の子』だったのですが、描写力はすごいものの、作中よくわからないワードや回収されない伏線、唐突な展開などが多く、読み終えて非常にモヤモヤしたのを覚えています。(こうしたもやもやはのちに本編を読んで解消されたのですが)

 そのもやもやと、この『東亰異聞』を重ね合わせると、もしかして東亰の物語はもっと続きがあって、これはプロローグだったのではないか、とも思えてしまいます。

 東亰の話がこれ一冊で終わっているのが、もったいなく思えてしまいました。

レビュー投稿日
2017年4月11日
読了日
2017年2月23日
本棚登録日
2017年2月23日
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