ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)

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本棚登録 : 301
レビュー : 27
著者 :
制作 : みやうちゆうすけ 
とし長さん SF・ファンタジー   読み終わった 

 日本製のロボットDX9を媒介に世界各国のテロや紛争地区の近未来を描いた連作短編。

 民族問題や宗教問題などの歴史的背景と問題の複雑さが各短編で描かれるので、正直作品を理解しきれたかどうかは自信がないのですが、それでもこの作品に備えられている力というものは十二分に感じました。

 その力の理由に作品の独創性がまずあると思います。現代においても未だ解決の糸口が見えない民族や宗教の問題、それを近未来とDX9というSFのガジェットを使ってどう描くか。表題作や「ハドラマウトの道化たち」でのDX9の利用法や政治の統治法もすごいなあ、と思ったのですが、なによりすごかったのが「ロワーサイドの幽霊たち」。虚実を織り交ぜて語られる壮大な物語に心を奪われました。

 そしてそうしたアイディアだけでなく文章も独特の詩情があります。だから理解しきれなくても、これは力のある作品なんだな、というのが分かるのです。

『盤上の夜』を読んだ時も思ったのですが、宮内さんは今までのSF作家とはまた違った世界を目指しているように思います。作中のSF要素もその世界を表現するために一番都合がいいのがSF的な世界観なだけであって、そのうち分類不能な新しい文学が宮内さんの手から生まれるのではないか、読み終えてそんな考えがふと湧いてきました。

第34回日本SF大賞特別賞

レビュー投稿日
2015年9月21日
読了日
2015年9月16日
本棚登録日
2015年9月13日
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