夜行観覧車

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本棚登録 : 6955
レビュー : 1125
著者 :
とし長さん ミステリー・サスペンス   読み終わった 

 図書館より
 高級住宅地で起こった殺人事件の真相を、事件の起こった高橋家、その隣に住む遠藤家、そしてその近所に住む小島さと子、それぞれの視点から迫っていくミステリー。

 『告白』の湊さんらしい人間のドロドロっぷり(笑)。コンプレックス、エゴ、親からのプレッシャー、ストレス、現実逃避……、事件の真相は? というミステリ的な興味はもちろんありますが、読めば読むほど明らかになっていく、各人物たちの抱えた黒い部分に嫌悪を覚えつつも、
筆の巧さ、そしてなによりも舞台や各人物の境遇の置き方が巧くその黒い部分にどこかしら共感や理解を覚えながら読み進めてしまいます。

 一見幸せそうに見えた高橋家と娘が常に癇癪を爆発させている遠藤家、しかし事件が起こったのは高橋家の方。しかし読み進めてみると遠藤家でなぜ事件が起こらなかったのか、なぜ高橋家で事件が起こってしまったのか、という境界線がぼんやりと見えてきます。

 読んで思ったのは家族という共同体の曖昧さ、そして家族の平穏は常にギリギリの綱渡りの上で成立しているのではないか、ということでした。

 個人的に小島さと子の悪意がなかなかに強烈でした。善良そうな人かと思いきや、自分の価値観のためにやること、そして何よりそれをとがめられた時の反論が
理解はできてもまったく共感できないもので、こんな行動原理でこうも自分が正しいように言い返せるんだな、とある意味感心してしまうほど。そんなさと子ですが、終盤では意外な面もみれて、人間って分からないな、とも思いました。

 まとめ方が少し雑というか、無理やり話を希望を残した感じで終わらせようとしているのが、少し違和感がありましたが、改めて「やっぱり湊さんだなあ」と思わせられる作品でした。高橋家の子どもたちは本当に頑張ってほしいなあ。

レビュー投稿日
2015年1月4日
読了日
2015年1月2日
本棚登録日
2015年1月1日
2
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