消費者の現代史、というありそうでなかった視点に引き込まれました。一昨年、貞包英之「サブカルチャーを消費する」に出会ってから彼の著作「消費は誘惑する」「消費社会を問いなおす」と読み継ぎ、「消費社会論」にも刮目していたのですが、今回は社会論、というより現代史、という違いが隣接しているけれど被り無し、ということで新鮮にページを手繰れました。著者の満園勇にも注目です。消費者という存在の台頭した1960年代から70年代初頭、消費者から生活者という捉え方へのシフトが進んだ70年代半ばから80年代半ばまで、消費者を顧客満足という視点でお客様と呼ぶようになる80年代後半から2000年代まで、そして押し活やエシカル消費、応援消費にまで繋がる2010年代以降の流れを象徴的な事例を並べながら、手際よく物語のように紡いでいきます。「消費者が社会や経済を変える」という希望のようなものが一貫して流れているがこの読後感を作り出しているのかもしれません。知っている話の裏側の話、今回初めて知る話も満載で、一気読み満喫しました。
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- 感想投稿日 : 2024年12月8日
- 読了日 : 2024年12月8日
- 本棚登録日 : 2024年9月23日
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