日本という国にとって「戦中派」はキカイダーの良心回路みたいなものだったんじゃないか…と、近頃、特にそう思います。戦争は嫌だ、と理屈じゃなく体験として語れる世代もどんどん召されていく年代に入っています。そう、今、日本は「戦争を知らない子供たち」100%の国に変わりつつあるのです。でも、憲法の問題も基地の問題も敗戦のあの日から地続きで何も変わらないまま。そんな時代に「帰ってきたウルトラマン」の上原正三が、まさに帰ってきました。故郷の過酷な戦争の記憶と戦後の理不尽を物語にして。その物語は時代を超えて世代を超えて渡され続けなければならないバトンなのだと思います。著者の実体験から生まれた物語だと思いますが、沖縄の怒りと哀しみを出来るだけ優しさと希望に変換しようとしている意志を感じます。断罪じゃなくて受け止める力、これ、帰ってきたウルトラマンの郷秀樹の悩みと繋がるような気がしました。フリムン軍曹の強さ、凄いです。広島に原爆資料館があるように、沖縄の永遠の記憶としてウチナーグチで書かれたこの本、もっとみんなに読まれますように、永久保存されますように。
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- 感想投稿日 : 2018年5月7日
- 読了日 : 2018年5月7日
- 本棚登録日 : 2018年2月8日
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