覇権通貨 小説人民元

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2013年3月2日発売)
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5

人民元を基軸にするには、日本の銀行を買収すると言う発想が面白い。
その視点から見て、中国の金融政策のあり方が、浮き彫りになり、
共産党の原則派とリフレ派の対立の要点が、見えてくる。
中国の対外金融政策は、一方で賄賂で手にしたお金を海外に逃亡させ、
隠して、個人の蓄財を進める。共産党及び政府の高官の子女が、
海外に多いのは、その役割を担うためであることは、明らか。
一帯一路の中国のやり方は、多くの国で反発を食らっている。
裸官と言うあり方で、中国国内では清廉潔白を言いながら、
海外にたっぷりお金を持っている。
捕まった薄煕来や温家宝などは、その典型とも言える。
ここで登場する 李国東中国改革銀行のミスター人民元は、
強い人民元を標榜しながら、私服を肥やし、野望を持つ。
中国に、実際にいそうな人物である。
それに対応する王陸群党学校副校長は、希少価値とも言えそうだ。

人民元が、交換可能なお金になったことで、
経済的利益をもたらすお金か、個人蓄財のものか?
と言うのが、問われる。
ラオス、ミヤンマー、タイ北部は、人民元の方が人気がある。
アジアにおいて、着実に人民元が覇権貨幣になってきている。
人民元は、人民のための紙幣だと言う。
そして、日本産業銀行の江草は、「日中が協力すれば世界最強」と言ってのける。
本当にそうかな?と思いながら、
江草は、日本と中国の対等の関係を構築しようとする。
この姿勢は、とても大切であると思う。

しかし、三光コンチェルンの山城は一体何をしたいのだろうか?
銀行が欲しいと言うが、いま銀行を保有する意味があるのだろうか?
そして、山城千秋は、江草にとりいって、スパイ役をするが
あまりにも、ミエミエ過ぎる。大きな野望があるそうだが。
それよりも、杜愛蓮の想いの方が、よりスッキリしている。

李国東の元の切り上げ政策は、アメリカの財政赤字と貿易赤字を
解消する上で、重要な意味を持つが、中国の輸出産業にとっては、
打撃となってくる。現在の米中貿易戦争のような様相だ。
魚釣島の反日の機運が高まる中で、このような、
日本と中国の金融を巡ってのツノの突き合わせは、
ありうる可能性がある。
「日系企業の締め出しと国有化。」
中国の企業の株主は、共産党 と言う表現が、
的を得ているような気もする。
しかし、それでは、中国経済が健全に発展しないことは
目に見えていることなのだが。
江草の今後の 中国での活躍を 期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国
感想投稿日 : 2019年2月25日
読了日 : 2019年2月25日
本棚登録日 : 2019年2月25日

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