半落ち (講談社文庫)

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本棚登録 : 7183
レビュー : 897
著者 :
touxiaさん 警察/司法   読み終わった 

「あなたは、誰のために生きているのか?」

7年前 13歳の息子を「急性骨髄性白血病」でなくす・・・
そして、その息子の20歳の誕生日に墓参りをした・・・

妻がアルツハイマーになり、・・・

アルツハイマー・・・
意識が正常なとき、記憶を喪失するとき
その二つが交互にやってきたとき、
自分が食べたことを忘れてしまう・・
自分のやったことを忘れてしまう・・
人間が壊れていく
殺してほしいと念願する・・・妻
その妻を殺したのは、夫。
嘱託殺人を起こしたのは、県警本部教養課次席 梶警部
温厚。生真面目。年齢が49歳。

それに関わる取り調べする
刑事、検事、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官
それぞれの重い人生がある。

梶の澄んだ目に、
修羅場を経験してきた人たちは、なにか心を打たれる。
妻を殺して、自首するまでの空白の2日間。
梶は一体なにをしていたのか?
新宿歌舞伎町に行った?・・一体なぜ

人間50年と梶は、鮮やかに書をしたためていた。

「人間50年、化天の内を比ぶれば、夢幻のごとくなり。
一度生を受け、滅せぬもののあるべきか」幸若舞 敦盛
・・・人生の儚さをうたう

梶は、自殺を選ばず、自首をした。
汚辱にまみれ、警官としての尊厳と誇りを
引き裂かれることを覚悟して、
自分が、あと1年だけ、生きている価値がある・・・・

この物語の主人公 梶は、実に言葉が少ない・・・
妻を殺した自分に対して、もうかたる資格がない・・・
淡々と自分の残りの人生を過ごしていく・・

・・・・結末は、予想を超えていた。
しかし、ちょっと物足りない・・オチが半分かな。

読み終わったあとの圧倒的な存在感のあるこの作品
「あなたは、誰のために生きているのか?」
という問いかけは、今の自分のこころを突き刺す・・

すべてに納得がいくことが、「完落」というならば、
人生には、「半落」しかないかもしれない・・・
残りを解明していくことが、生きている証なのだろうか。
60年をもうとっくに越えた自分は、
まだ青春まっただ中である。

レビュー投稿日
2012年10月24日
読了日
2004年2月18日
本棚登録日
2012年10月24日
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