赤毛のアンは、中学生の頃に読んだ。
イメージは、お転婆なやつだ というような感じしか
残っていなかった。茂木健一郎にしてみれば、『赤毛のアン様』という
ほどのしたいぶりなのだ。原文で全部読破したというから、すごいのである。
さらに彼は、原節子を女神に思っているようだが。
この本は、その赤毛のアン様を、広い視点で考察しようという試みである。
真摯な自分を貫き、偶然の出会いをどう活かし、今までの世界観が変わるような出来事を
うけいれ、自分自身をどう変えるのか。
それを、赤毛のアン様を通じて、明らかにしようというのだ。
赤毛のアンの世界に、『敗戦体験』をしたという。
それは、生活感に溢れていて、そこに行きたいと願望が生まれ、
懸賞論文に応募し入賞して、カナダに行くことになったという。
赤毛のアンの中にある 洗練されず、垢抜けしない『ぎこちなさ』の中に
生命の躍動を感じた。
アンの口ぐせ『ここは、想像力の広がる余地がある』
まだ見ぬ世界。新しい感動。知らないこと。そこにアンは想像力を働かせる。
そして、周りを感化させる。その源泉は、欠乏感に他ならなかった。
アンは、見た目は赤毛で、ソバカスがあり、ガリガリに痩せ、器量も良くない。
そういうハンディというか、コンプレックスを魅力のあるものに
変換して行くことで、運命に出会いが始まる。
ギルバートとの出会いは、最悪だったが、そのことが、大きな運命となる。
成長するとともに、喪失して行くものがある。
幸福であるということは、自分の居場所を見つけることだ。
アンは、奇跡を起こした。それは、ひたむきに生きたからだ。
茂木健一郎の生きるためのクオリアが、赤毛のアンを通して、
爽やかに、説明されている。
- 感想投稿日 : 2013年3月17日
- 読了日 : 2013年3月17日
- 本棚登録日 : 2013年3月17日
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