すごいオトコが、農家に参入してきたものだ。とにかく、日本1を目指すのだ。なかなか、農業に参入してくる新規就農者でも、日本1を目指して取り組む人はいない。いわゆる一番をとって、天下人になるということなのだ。てっぺんを取らなければ、世界は見えない。とにかく、集中力や細部にまで疑問を持って取り組んでいる。スピード感がある。まさに、農業は前途洋々たる未開拓分野がいくらでもあるのだ。山形天童市で、ネギを始めるのだが、最初から1ヘクタール。日本の農家の石橋を叩いて行き詰まる手法とは違う。私も、中国、雲南省にいて、農業会社のトップから言われたのが、トマトを作りたい。温室で4ヘクタールだという。その方が、早く結果が出るという。確かにそうだ。清水寅は、現在ネギを10ヘクタール近く作っている。
この本を読みながら、気がついたことが多かった。目標はあくまでも日本一なのだ。そして、問題意識が鮮明であるがゆえに、当たり前とされている農家の壁を突破する。日本一になるには、どんなネギを作るのかが、実践の中で理解していく。「1町歩なんか不可能だ。最初は1反歩から始めるほうがいい」という周りの農家なんかに耳を貸さない。まぁ。よく働くのだ。1日18時間働くというから、それはモーレツ農家なのだ。そして、参入して400万円売り上げれば表彰されるという農協職員の言葉に驚き、市場で値段が決められて、自分で値段が決められず、安すぎることだった。どうやって食っていくのか?ということが鮮明なのだ。つまり、趣味の農業ではなく、ビジネスそして経営としてネギ農家を営むのだ。
「物量は力なり」という言葉に、感激をして取り組む。ネギは水はけがいい土地で栽培する。2Lのサイズのネギの方が単価が高く、作業が楽である。虫や病気になるのは、硝酸態窒素が多いことで、それを減らせば、虫も減り、病気も減る。とにかく、現場観察力が芯をつかむ。そのためには、有機肥料を使う。彼は、有機の中で、アミノ酸やペプタイドを直接吸収するという研究成果もきちんと知っている。なぜなのか?という質問を常に持っている。例えば、ネギだけではダメなので、加工食品を作る。いわゆる農水省が推進した6次産業である。ネギのあらゆる加工食品を作るが、結果として、加工食品メーカーは味の素など巨大メーカーに太刀打ちできないことを知る。結局は、農水省の予算稼ぎの口実なのだ。結局は苗に向かうのは正解である。私も、農業に参入しようとした時に、自分で価格が決められる農業は苗事業しかないと思って、苗から入った。
何と言っても、営業することが自分の得意とすることだということで、5Lのネギをモナリザとして1万円で売ろうとする日本一ネギ戦略は、素晴らしい。自分でブランドを作り上げている。いいなぁ。
清水寅。日本一を目指して、どこまでも伸びて行くだろうね。何を疑問に思ったかということこの本には書いてあって、若き農業者、新規就農者は学ぶべきである。私も、随分教えられた。
- 感想投稿日 : 2020年12月6日
- 読了日 : 2020年12月6日
- 本棚登録日 : 2020年12月6日
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