神の火 (新潮ミステリー倶楽部)

著者 :
  • 新潮社 (1996年8月1日発売)
3.65
  • (22)
  • (19)
  • (48)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 186
感想 : 22
4

彼女の文章は、ほんとに剛直で、女性の文章と思えない。
また、テーマ自体も女性が選ぶものではない。
ここに新たな変化があるのかもしれない。

原子力発電という強力な科学の進歩は、
様々な精神的な不安定を導き出す。
そして原爆という沢山の人間を殺害する能力の存在が、
少なくとも原子力発電には、連想される。

原子力発電は、怖いという。
そんなに怖くないなら、
東京に原発を作ればいいとも言われている。

この本の中でも、原子力発電が、
平和を前提とした構造物であることを意味しており、
これをミサイルで攻撃したら、
ひとかたまりもないことをいっている。

日本の原子力発電は、世界一安全であるといわれているが、
チェルノブイリの事件、そしてスリースマイルズの事件など、
何らかの事故が起こることは、考えられる。
原発に関わる沢山の技術者が存在しているが、
人間の考える知恵は、つねに限界性を持ち、絶対ではない。
つまりやはり原発は、安全とはいえない。
あらゆる場合を想定して、つくられなければならない。

原発のことについては、あまり詳しく知らない。
動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は、
高速増殖炉の開発をしている。
プルトニウム利用の技術開発を中心に据えて、
電力会社の原子力発電推進を進める役割。
実験炉「常陽」原型炉「もんじゅ」野開発・運転費など、
95年度までに1兆1500億円を使っている。
高速増殖炉が、実用化されるまでの
つなぎとして位置づけられていた、
プルトニウムを燃料とする
原発(新型転換炉)の計画が昨年中止された。

使用済み核燃料を再処理して、
プルトニウムを利用する「核燃料サイクル」を推進している。
LNG火力発電の1キロワットの原価が9円、
石灰火力・石油火力では、10円であり、
原子力発電も、発電原価は9円、
そのうち20%の1.8円が、ウラン核燃料費になる。
しかし、プルトニウム再生が2倍になるとすれば、
コスト的メリットがなくなる。

今後どんな方向に行くのかよくわからない。
時代が決めてくれる。

いわゆる無計画の計画と言うべきか。
だんだんとキャンバスの中が埋まってきている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エネルギー/環境問題
感想投稿日 : 2012年11月5日
読了日 : 1995年1月20日
本棚登録日 : 2012年11月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする