国家の品格 (新潮新書)

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著者 :
touxiaさん 日本/日本人論   読み終わった 

数学者はどう考えるのかを知りたかった。
「数学者」でありながら、感受性が豊かな人だという認識があった。

今回の題名が、「国家の品格」という題名で、ちょっと驚いた。
あまりにも、飛躍している題名だ。
なんで、数学者がとおもった。

「はじめに」で、
「論理的に正しいということはさほどのことではない。」
といっているのは、非常におどろいた。
数学者は、ある意味では、「論理」を重んじる人種であると思っていたからだ。

藤原氏の奥さんは、あなたの「話の半分は誤りと勘違い、残りの半分は誇張と大風呂敷」といったとか。

ふーむ。
私と同じようなシチュエーションであるが、藤原氏は、マジメだ。

状況認識として、
先進国はすべて荒廃している。治安の悪化。家庭崩壊。教育崩壊。
・・・一体その荒廃はどこから来ているのか?
というのが出発点にある。

その原因は、「西欧的な論理と近代的合理精神の破綻」であるという。

つまり、
「論理を徹底すれば問題が解決できる」という考えはあやまりである。ということを、論理的に説明しようとしている・・?

(1) 論理そのものに限界がある。
(2) 最も重要なことは論理で説明できない。
  論理は、世界をカバーしない。
(3) 論理には出発点が必要・・・出発点を選ぶのは情緒や形
(4) 論理は長くなりえない

具体的な例を挙げれば、
日本でのこと・・・中学生が質問した
「なぜ、人を殺していけないのですか?」

これを論理的にこたえるというより、
「ダメなものは、ダメ」ということが必要と説く。

なぜ人を殺していけないか?
いまの教育の中で、「論理的回答」をしようとすればするほど、
こたえることができない。

では・・・・どうすればよいと言っているのか。

「西欧的な論理と近代的合理精神の破綻」にたいして、
「情緒」・・・なつかしさともののあわれ
「形」・・・武士道精神から来る行動基準
日本人を特徴づける「情緒」と「形」が重んじられるべきである・・・という。

日本人が持つ自然に対する感受性。
(このことは、日本の気候・風土が、かなり関係していると思う。
 瑞穂の国と言われるが、やはり、水と緑に覆われ、四季の影響は大きい
・・藤原氏は、それは、日本だけでなく世界に共通する普遍性があると説く。

「情緒」と「形」は、
普遍的価値を持ち、文化と学問を創造する上で重要であり、
真の国際人を育て、人間のスケールを大きくし、
人間中心主義ではなく、戦争をなくす手段にもなるという。

日本人(松尾芭蕉)の発明した俳諧。
その基準は季節をあらわすことが含まれている。
外国の詩は、韻を踏むことで構成されている。
この違いは、言葉に奥行きを持たせる。

藤原氏の本では、
アメリカ大陸で、夕陽に涙するのは、日本人である私である
というのを読んだことがある。
その意味で、日本人的な情緒、もののあわれ。
は、きわめて自然な感情だった。

「国家の品格」を読みながら、私が注目したのは、
「卑怯を憎む心」ということであった。

「法律違反だから万引きをしない」ということではなく、
「親を泣かせる」「先祖の顔に泥を塗る」、「お天道様が見ている」
ということから、自制していた日本人の心を大切にする。

今回のムラカミさんのやり口は、
この「卑怯」というのに・・あたるのだろう。

自らの経歴から、巨額のお金を集め、そして、儲ける・・・
「儲けてなぜ悪い」・・・・という言葉の意味は大きい。
儲けることは、確かに悪くない・・・
しかし、「儲け方」が問題なのだ。

一緒に、日本放送を買い占めよう・・・といいながら、
お金を持っているものは、オカネが集まるというが、
(貧乏人のひがみでいっている・・・ぶんもあるが
「買うということを聞いちゃったもんね。」と・・・いう卑怯さ。
買おうといったのに、買おうと聞いたにすり替えている
高値になったら、売り抜けた・・・という卑怯さ。
これは、ホリヱモンを途中で裏切ることになる。

法律で裁かれる・・・より、
ホシノさんがいった・・・「天罰が下る」・・・
という表現が、やはり日本人として一番適切なのだと思った。
(ムラカミさんは、反論したが・・・
やはり、「お天道様が見ているのだ。」

藤原氏の作品は、西欧に滞在したり、行くことが多いので、
西欧主義についての造詣は深いが、
やはり、もっと、中国との関係で、物事を見てくれると、
日本というもののよさが、わかるようになるのかもしれない。

レビュー投稿日
2013年2月11日
読了日
2013年2月11日
本棚登録日
2013年2月11日
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