習近平の中国 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2015年5月16日発売)
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感想 : 14
3

読んでみたい本だった。チャイナスクールの出身とされ、
北京駐在も三回で、中国の現代史をみてきたからだ。
読みながら、言葉の選び方が、浅すぎるとおもった。
中国共産党の『隠したがり体質』と『相手を過酷に倒す仕組み』
という表現に、まったく インテリジェンスを感じない。
おじさん的表現だよ。
それに、テレビでの戦争ドラマを単純に見ている。
あぁ。その背景をもっと、あばけよ。と言いたくなってくる。
中国のインテリジェンスに取り組んできたとしては、
もう少し、言うべきことがあるだろう。
『大地の咆哮』での、すざましい執念みたいなものが感じられない。
習近平と一番たくさん食事をした 経験を持つには
『中国流大人』というだけでは、おもろくないだろ。

ゾウが 急速に走っている、そのスピード感。
そこで、常に問われる 中国共産党の統治の正当性。
鄧小平が 一番気にしていたところを、江沢民は 汚職まみれを容認して、
胡錦濤が おとなしく 文書だけで、行動に移さなかった中で、
習近平が 実行に移しているのが 
お父さんの習仲勲の思いを大切にしているというところは、
なるほどという分析だった。
習近平が 習仲勲88歳の誕生祝いの時におくった手紙。
『人となりを学び、成し遂げたことに学び、信じることをあくまでも追求する精神に学び、民を愛する気持ちに学び、質素な生活に学ぶ』という紹介がいい。
ただ、習近平の評価をそれだけにとどめるには、見えてこないなぁ。

もっと、語るべきことがあるはずなのだが、語れないのだろうか。
とにかく、インテリジェンスの浅さと残念の書だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国
感想投稿日 : 2016年9月21日
読了日 : 2016年9月21日
本棚登録日 : 2016年9月21日

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