花鳥風月の科学 (中公文庫 ま 34-3)

著者 :
  • 中央公論新社 (2004年6月25日発売)
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感想 : 20
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花鳥風月は、『美しい自然の景色やそれを重んじる風流を意味する。』と
ウィキペディアには書いてある。
日本の文化の 象徴的な言葉として使われる。

読み始めると、
『花鳥風月の科学』は、ミステリーのような展開となる。

女性のあわれ、無常で死ぬ。
男のアッパレ、戦場で死ぬ。
おなじことなのだとはじまる・・・対。

山、道、神、風、鳥、花、仏、時、夢、月
の10個のワードを 多面的にとらえていく、
それが、重層的な展開になり、
万葉の世界から、中国、インドまでまきこんで、
日本の中に流れ込んだ文脈を説明し、科学する。

山への畏怖。
道がつながり、まじわる情報が流れる。
神が音づれる。マレビトのおとづれ。
見えない風をみる。言葉は風にまう『言の葉』。
鳥を追いかける。神の使い。
花は 咲く、サキ、エネルギーのぎりぎりが。
仏、釈迦そしてダルマロード。
時は、ウツロイ。間も時をあらわす。
そして、夢で、それまでの言葉たちが、集合し、
真と片とになる。パリティの崩壊が片を求める。
そして、月を狂おしく想う。

時間と空間を駆け巡り。
花鳥風月の宇宙が広大な視野で眺めることができる。
私は、読み終わって、
また、山の上に立って、同じように繰り返して読み始める。
このループは、きわめて心地がいい。

『見わたせば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕ぐれ』
藤原定家

花が一面咲いている ピンク色に染まっている山と・・・
紅葉で真っ赤に燃える山と・・・
夕暮れにくれなじんで、オレンジ色に輝く山が・・
一瞬にしてみることができる。

この感性のすばらしさに・・・ただただ、茫然とする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本/日本人論
感想投稿日 : 2013年3月25日
読了日 : 2013年3月25日
本棚登録日 : 2013年3月25日

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