ユリイカ2009年6月号 特集=レム・コールハース 行動のアーキテクト

  • 青土社 (2009年5月1日発売)
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「錯乱のニューヨーク」を読みながら、これまでの建築家とは全く違った感覚と切り口で、建築と都市を語る。これは、注目に値する人物である。外国の建築家と言っても、ロイド・ライト、ルコルビュジェ、そしてザハハディットしかしらないが、それに新たにレムコールハースが加わった。
都市は、過密であり、錯乱していると1978年に、「錯乱のニューヨーク」を発表した。それは、ニューヨークのゴーストライターだという。
このユリイカで、磯崎新X浅田彰が、レムコールハースについて論じている。
これは、レムコールハースをどうみるかで、大きな示唆となる。
また、様々な角度から レムコールハースを解体している作業は面白い。
レムコールハースは、インドネシア育ちで、さまよえるオランダ人。
シニシズム;「無所有と精神の独立をめざし世俗的習慣を否定する」冷笑主義。徳こそ唯一の善であり、幸福とは欲望から自由になることのみ達せられる。
スノビズム;俗物根性と言われる。紳士気取りの俗物。
レムコールハースが、シニシズムであり、磯崎新が スノビズム。

レムコールハースが、建築の場面において、華々しく登場するのが、CCTVのコンペであり、それを強く推したのが審査委員だった磯崎新。その前年に香港のコンペで、ザハハディットを推したのも磯崎新だった。確かに、ケッタイな建築物である。
2009年2月9日 CCTV新社屋に付属する北配楼が花火で消失した。
それが話題ともなった。2008年8月8日には、北京オリンピックが開かれた。

「最初にロゴありき」
建築としての機能や意味、組織構造や背景にあるものをどれだけうまくリプリゼント(表象)したものになっているかという従来の考え方から、CCTVは、「建築をアイコン」としてみる。
破天荒なデザインだからこそ、逆にグローバルな情報網を流れるアイコンとなる。
ザハハディットが、アイコニックビルディングを作る。
硬直化した モダニズム建築や 都市計画をひっくり返そうとした。

ジェネリックシティ(無印都市)都市論を量から質へ。
OMAに、メトロポリタンを使った。シティからメトロポリタンへ。
レムコールハースは、暴力的でありながら、インパクトがある。
ザハハディットは、フェミニン。レムコールハースは、マスキュリン。
レムコールハースは、どこまでもグローバル資本主義の波に乗って、サーフィンしてやれという。
レムコールハースが、プラダに関わることで、ブランディング戦略が大きく変わった。
悪ガキとしてのレムコールハースは、ヨーロッパ的な良き趣味ー古典主義からモダニズムまでひっくるめたものをひっくり返そうとした。
レムコールハースは、ニューヨークはどうしようもない、いい加減さ、あまりにも雑なところが面白い。→量によって質を圧倒する。
ルコルビュジェは、ヒューマニズムの伝統の中にある。

冷戦集結で歴史が、終わり、世界がアメリカ型グローバル資本主義のもとで均質化すると思ったら、重心がアジア、中国に移った。
今は、巨大なマネーというのがこの世の中を動かしている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 建築
感想投稿日 : 2020年5月24日
読了日 : 2020年5月24日
本棚登録日 : 2020年5月24日

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