ミミズのはたらき

著者 :
制作 : 中村好男 
  • 創森社 (2011年10月24日発売)
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ミミズのはたらき 中村好男(著)

ミミズは、大地の腸、地球の〈虫〉、自然の鍬、生態系の技術者、土の健康のバロメーター、地球に最も価値ある動物、土壌圏の技術者、 大地のトラクター、環境保全の立役者、といわれる。
土の機能は
1 生産機能
2 分解機能
3 自浄調整機能

日本では ミミズ 5種類。
フトミミズ、ツリミミズ、フタツイミミズ、ジュズイミミズ、ムカシフトミミズ。

ミミズは肺などの呼吸器官を持っていない。
粘液で皮膚を湿らせて,その皮膚を通じて酸素と炭酸ガスを交換する。
血液は赤い色をしているが、赤血球ではなく血色素。
光に敏感。目や耳はなく神経は頭部に集中して小さな脳がある。
感触毛があり、危険を察知して,食べるものを選択する。
感光細胞がある。強い光には負の方向がある。
雌雄同体である。
北海道産ミミズは20℃から活発になり、25℃で脱糞し、30℃で死亡する。
体内液にグリセロルを持つ。
背孔から液が30CMの高さにまで放出される。
シマミミズの体液は、溶血、細胞毒性、血液凝集、抗菌の作用がある。
熱冷ましの成分は ルンブロフェブリン。
リン脂質に結合する ライセニン。

発光ヒメミミズもあるが、ホタルと一緒のルシフェリンが関与している。

解毒機能を発達させたミミズもいる。
1 重金属を体後部の皮膚と腸の間,体液内に老廃物の粒として無害な状態にとどめる
2 その粒のある後部を切り離す
3 汚染環境に耐える能力がある。

陸生ミミズは 
堆肥生息型/シマミミズ 堆肥がなければ生きていけない。ヒメミミズ
枯葉生息型/ツリヒメミミズ属、
表層土生息型/コブヒメミミズ属、
下層土生息型/ハタケヒメミミズ属

ヒメミミズ は身体が小さくモグラのエサとして不適なので使える。

ミミズの五大寄与
1 食べる 
一日食べる量は、体重の1.5倍。口から肛門まで3.5時間。
消化吸収効率は 枯葉では全窒素の17%。
根が吸収しにくいリン酸やカリウムかたちに変換する。
ビタミン類を合成する。

2 動き回る
微生物だけの働きでは限界がある。
生命体の死体などが 処理が遅くなる。

3 クソをする
団粒とは単粒が微生物や動物がつくる多糖類(アミノ酸など)で形成される。
⇒水持ちがよく、水はけも良い条件をつくる。
腐食酸の量が増加する。

4 尿をする
窒素分の増加となる。

5 死体となる
良質なタンパク質をあたえる。

土壌の気相が増え,柔らかくなる。物理性の向上
カルシウムや窒素量が高まる 化学性の向上
土壌微生物の多様化 生物性の向上

ミミズが 病気を抑えることになる。
1 ミミズが摂食することで 病原菌が消化もしくは破壊される
2 クソや粘液で病原性を消失する。
3 菌の生息場が改変され増殖力が低下する。
4 キチナーゼが腸内にあり,菌の細胞壁を破壊する。
5 ミミズの分泌する水溶性フェノール酸が抑制効果がある。

シマミミズの好適条件
温度 15℃から20℃
水分 80〜90(最小40 最大95)
酸素濃度 15%以上
二酸化炭素濃度 6%以下
伝導度 eh は マイナス100mv以上
アンモニア濃度 0.5%以下
ph 5〜9
炭素窒素比 1/30

いかに 発熱させないでシマミミズを成育するのか。

良い堆肥とは
安定した構造、均衡のとれた栄養素、多様な生物相、
クソはPHを中性に持っていく。

ミミズを概観する上では 好著である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 農業
感想投稿日 : 2013年12月4日
読了日 : 2013年12月4日
本棚登録日 : 2013年12月4日

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