動乱 [DVD]

監督 : 森谷司郎 
出演 : 高倉健  吉永小百合  米倉斉加年  桜田淳子  永島敏行  にしきのあきら  小林稔侍  田中邦衛 
  • 東映ビデオ
3.13
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4

森谷司郎監督 1980年作品

5・15事件から 2・26事件へ
日本が、戦争への道をひた走りする
その前奏曲としての 青年将校らの決起。

仙台連隊でのこと、部下から信頼の厚い 宮城大尉(高倉健)。
初年兵のひとり溝口(永島敏行)が脱走した。
姉からの手紙を見て、姉に会いに行こうと思ったのだ。
家が貧しく 姉 薫(吉永小百合)は
1000円で、売られるということを知った。

結局 永島敏行はつかまり、
軍曹から自決するように言われ、ピストルを渡される。
(脱走の刑がかなり重いが、本来法廷で裁かれるもの
 この場合は、リンチに近い。)
しかし、溝口は自決できない。
軍曹が手助けしようとピストルを持ちかけたときに
もみ合い 軍曹を撃って殺してしまう。

宮城大尉は裁判で証言に立ちたいというが
貧しいがゆえに身売りされたという理由で
たくさんの兵隊がこのようなことをしなければならない。

裁判にかけられ 死刑が宣告され
銃殺の指揮を 宮城大尉に命じられる。

宮城大尉は 父親から1000円を借りて
死体を運んでいったときに 姉に渡す。
宮城大尉は この事件に責任を取らされるカタチで、
中国の国境近くの朝鮮の国境警備隊に転属を命じられる。

この時期は 昭和7年(1932)だった。
5月15日 海軍急進派の青年将校のほう起があった。
護憲擁護派の犬養毅総理が撃ち殺された。
そのときの青年将校への処罰は禁固15年だった。
政党内閣から軍人内閣になっていくことになる。
その3年前 1929年に世界恐慌があり、
日本にも不況が押し寄せ企業倒産が相次いだ。
1931年には満州事変が勃発している。

宮城は 軍人幹部の飲み会で 
芸者の薫(吉永小百合)を見つける。
宮城は 薫を もっと別の道がないか? と問いかける。
宮城は 軍の品物を横流しの現場を押さえるが
そのとき 薫は自殺を図り、それを助けることに条件に
横流し犯の釈放を認める。

昭和10年10月 宮城は東京の第1連隊に配属となり、
薫と居を構えることとなった。
青年将校たちは信頼厚い宮城大尉のところにおしかけ、
論議していた・・

そこで論議されている内容は 
今で言う『格差社会』である。
政府や軍幹部 企業は太り 農民や労働者は貧しいままであり
それを革新しなければならない ということだった。

宮城大尉の前の家では、憲兵である島謙太郎(米倉斉加年)
が 見張りの役をする。
島はもし普通の兵だったら 宮城大尉の仲間に入っていた
とさえいう。憲兵も郷里は貧しい家庭の育ちなのだ。

鳥取の師匠である皇道派の神崎(田村高弘)のところに
薫を連れて 話し合いをした。
腐敗している水沼軍務局長を征伐する必要がある
ということで一致し 神崎が実行するという。
実際 神崎が実行して、青年将校たちは 機が熟したと判断
陸軍大臣などに挨拶をして 理解を得ていた。

(史実)相沢事件・・・
『統制派の領袖であった永田鉄山陸軍省軍務局長を、
1935年(昭和10年)8月12日白昼に
相沢三郎中佐が斬殺する事件』がおこった。

宮城大尉ら 1483名は 決起する。
2月26日は 30年ぶりの大雪。

その後の 対応は 陸軍大臣をはじめ混乱していた。
最初は 決起を評価するような表明を出した。
その後 反乱軍となるが・・・
天皇の激怒が一番大きいともいわれる。

天皇は言う
『朕ガ股肱ノ老臣ヲ殺戮ス、此ノ如キ凶暴ノ将校等、
其精神ニ 於テモ何ノ恕(ゆる)スベキモノアリヤ』。
『朕自ラ近衛師団ヲ率ヰ此レガ鎮定に当タラン』

2月29日午前5時10分に討伐命令が発せられる。
午前8時30分に攻撃開始命令が下される。

『下士官兵ニ告グ、今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ帰レ。
抵抗スル者ハ全部逆賊デアルカラ射殺スル。
オ前達ノ父母兄弟ハ国賊トナルノデ皆泣イテオルゾ』
というビラが飛行機からまかれる。

裁判で 死刑が確定する。

ここから、一気に 戦争に進んでいくのである。
青年将校たちが 露払いをした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 戦争/軍隊
感想投稿日 : 2013年10月28日
読了日 : 2013年10月28日
本棚登録日 : 2013年10月28日

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