大衆の反逆 (角川文庫)

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彼は「狂った自由主義者」であり、「シニシスト(冷笑主義者)」であろうと考える。
「自由は素晴らしい。」と一方で賛美しながら、それが前提であることがもちろんで、「大衆人は阿呆であることに満足しているし、進歩しようとしない。」とする。また「大衆が決めているのではなく、一部の少数者が示した案に同調するだけ。」と喝破する。たしかに、我々が決めているという印象はない。
「自由と民主主義」はヨーロッパがもたらしたものであるが、「最近はヨーロッパが凋落した。」と云われることにも彼は反論する。「それはどういった意味でか。文化の程度が追いついただけではないのか?」とする。また「二度と革命は起きない。」とし、1848年以前では『たまたま国家としての機能が弱かったフランス』で革命騒ぎが起き、1848年以後民衆が暴力を独占し、二度と革命が起きなくなってしまった、とする。

その後の欧州の歴史は、民族主義と国家主義の時代で、これを「単に既成概念に抗がんがなために大人びろうと飛び跳ねているだけで、未熟。」であると喝破する。
また彼は国家自体がなんだかよくわからないものであるとし、「言葉によるものでもないし、種族によるものでもない。」とした上で、「あらゆる時代において、国家は支配関係にある。」とはいう。

「アメリカは凋落している。」という言い方はいまもされる。ただ、iPhoneもWindowsも、McDonaldもケンタッキーフライドチキンもアメリカのものだ。アメリカのものを排除して生きていくことはできないし、また同様に日本も凋落しているとはいえ日本製のものを世界から排除することはできない。中東や南米でアメリカにNOを突きつける国は多くあれど、「飛び跳ねている。」とみなすこともできる。

ただ世界全体の生産力が大きくなり、より一層交易が盛んになってしまっているので、彼の主張をそのまま当てはめるのは不可能であろうが、アメリカの影響はなくなるはずがないし、ましてやいまもなお中国の影響よりは大きいように思える。大衆は目の前の言説に惑わされやすいということであろうが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年9月30日
読了日 : 2012年9月28日
本棚登録日 : 2012年9月28日

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