ラマルクやアリストテレス、ダーウィンの「目的的進化論」「自然選択」の二項対立にとどまらず、それにたいする私見を述べている。
自然選択とは、突然変異などの要因によってその生物が変異し、それが元になっていままでの動物を淘汰していく、よって「キリンのクビが長いのは高いところにある葉っぱを食べるために進化した」のではない、という内容であるが、これにはアナがあるとする。
①突然変異とはいうが、実際突然変異で生まれてくる個体は概ね奇形のような奇妙な個体であり、実際にそうなっているのか?
②ヘラジカやツノゼミのような定向進化説(過剰進化)をどう説明するのか?進化には方向があるのではないか?
の2つである。まず著者はラマルクのダーウィンも「同じ穴のムジナ」であるとしているし、環境にあわせているのであれば、目的があるではないか、ということである。そして動物は、「その進化を志向」しているのだ、とする。
たしかに「暗黒バエ実験」では、暗いところに何世代も育てていたら、遺伝子に多少の差異は見られたのだ。「環境は遺伝子に影響を与えている。」と考えていいのかもしれない。たしかにその遺伝子は「暗闇で生きていくために進化」したのではないが、「暗闇で生きていたら変わった」のだ。淘汰はされていないが、進化はしている。
決してラマルクもダーウィンも当たっているわけではなく、著者は以上のようなことを述べている。思考停止に陥ってはならないし、我々は陥っていただけなのかもしれないが。
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- 感想投稿日 : 2012年12月16日
- 読了日 : 2012年11月29日
- 本棚登録日 : 2012年11月29日
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