バンビ――森の、ある一生の物語 (岩波少年文庫)

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本棚登録 : 111
レビュー : 19
大吉堂さん 在庫なし   読み終わった 

バンビというとディズニーのアニメやキャラクター、もしくは子鹿の愛称というイメージしかない方も多いでしょう。そのイメージで読み始めるとあっという間に覆されます。
ここに書かれているのは自然の全て。美しく雄大な姿だけでなく、厳しく冷淡な姿もまたそのままに書かれています。
生まれたばかりで何も知らず、何にでも興味を示すバンビ。母鹿はそんなバンビにそれらを教えるのですが、中には敢えて教えないことも。読者はバンビの視点で自然と接するので、その教えてもらえないものに対してバンビとともに不安を感じます。そしてついにバンビが「あいつ」に出会った時に、ともに恐怖しショックを受けるのです。
この書き方は実に怖いです。蝶が舞い鳥が歌う、そんな世界から一変するのですから。それは「あいつ」つまり自然に侵入する人間だけでなく、冬の寒さなど幸せに満ちていたと思っていた自然の厳しさもまた容赦なく突き付けられます。今まで光り輝いていた命が消え去る描写は、呆気なく淡々としています。しかしそんな厳しい自然なのに、雄大な美しさはそこにあるのです。それはバンビのストイックとも言える生き方にも現れているでしょう。

母との別れ、雌鹿との恋、古老への憧れ。雌鹿と結ばれて終わるのかと思いきや、バンビは古老とともに生きる道を選び、自らもまた森の古老へとなり次世代を見守るようになるのです。読者はバンビとともに時を過ごし、自然の全てをバンビを通じて感じるのでしょう。

レビュー投稿日
2018年3月12日
読了日
2018年3月12日
本棚登録日
2017年11月22日
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