博浪沙異聞 (新潮文庫 か 31-1)

著者 :
  • 新潮社 (1995年12月1日発売)
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本棚登録 : 64
感想 : 9
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中国古代、春秋戦国から秦漢交代期を舞台にした歴史短編小説集。英雄の物語に幻想的要素が加味されて、物語に彩りを与えています。
元々中国史は好きで、特に古代史が好きなのですが、中国歴史ものは久し振りに読みました。
ここでは短編のためか、歴史的背景の説明が必要最低限に抑えられています。そのため土台となる部分がわかりにくいのではないかという気もしました。表題作にしろ、主人公の張良がこのあとどうなるかを知っているかどうかで面白みが変わるでしょう。
僕自身、久し振りに触れた世界なので記憶の引き出しをひっくり返して歴史的背景を思い出しつつ読みましたが、ここで興味をもち調べる切っ掛けとするのも有りですね。こうして知のたて糸とよこ糸が織り上げられていくのも、読書の楽しみでしょう。
お気に入りは「覇王の夢」。国の繁栄と滅亡の瞬間が広げられ、たたみ納められる。史書にない歴史が繰り広げられ、史書にある歴史へと繋がる。この大きな物語が短編にギュッと納められたことに、驚きと興奮がありました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 在庫なし
感想投稿日 : 2015年8月24日
読了日 : 2015年8月24日
本棚登録日 : 2012年11月8日

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