押し入れの虫干し (真夜中BOOKS)

著者 :
  • リトル・モア (2011年12月14日発売)
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本棚登録 : 156
感想 : 17
4

料理家高山なおみによる自伝的物語。現在のふとしたことから思い出がよみがえり、思い出に刺激されて行動する。そんな流れがふんわりとして流れるように読みました。
描くエピソードによるものも大きいのかもしれませんが、高山なおみの文章には味と匂いが濃厚です。それも人工的なものでなく土の匂い血の味といったような生のままの自然の味と匂い。だからこそ思い出のエピソードに血が通い、今目の前で起こっていることのように、自分の経験のように感じられるのでしょう。折々に挿入された著者自身の子どものころの絵も、それに拍車をかけるのかも知れません。確たる味と匂いだから拒否反応も強いでしょう。でも一度気に入れば病み付きになってしまうのです。そうして高山なおみの文章に惚れていくのです。でも読み終えた後、無性にお腹が空くのは読むことにそれだけ体力を要するからでしょうかね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 在庫なし
感想投稿日 : 2016年9月9日
読了日 : 2016年9月9日
本棚登録日 : 2016年9月3日

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