「待つ」というキーワードで見つけた本。
時空を超えてしまう特異体質の男と、幼い頃に彼に出会って以来、突如としてどこかにいなくなる彼を愛し続ける女の物語。時を越えた愛の物語・・・というとどことなく陳腐だけれど、SF色も少女漫画色も極めて薄い。
少女時代の淡い恋心から老年の愛までの幅広い想いの形。「待たせる男」と「待つ女」、「帰る男」と「迎え入れる女」という微妙な関係性の交差。「一緒に生きられるようになってハッピーエンド」という単純な構図に収まらない、哀しいまでに現実的な世界を感じさせながらも、何があっても相手を信じて思い遣れる主人公たちの想いの強さには夢もあって、恋愛小説の輝きも保ってる・・・と、色彩豊かな顔を持つ、大人の恋愛小説だと思います。
a very entertaining, enchanting piece.
過去の時間も未来の時間も含めて、その人を愛する。
「待たされる」と悲観することなく、離れている時間も含め、出会えて共に過ごす幸せを謳歌する。いつか来る「離別」を待ちながら、今共に生きられる幸せを見つめる。
「待つ」ことはなんとかなるけど、待っている時間も「共にいる時間」として幸せに生きることって、案外難しいよね。と最近思う遠距離恋愛中の身には、二人の言葉の数々が胸に響きました。
映画化作品を見る前に、読んでよかった。この長くディテール豊かな原作の、どこをどう抽出して描くのか・・・映画はまた別の作品として楽しめそうです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外小説(洋書・和書混同)
- 感想投稿日 : 2011年6月8日
- 読了日 : 2011年6月8日
- 本棚登録日 : 2011年6月8日
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