俺の崩壊。
オレオレ詐欺で簡単にお金をだまし取ることができた俺、永野均は、それから檜山大樹になっていた。
自分だと思っていたはずの永野均は別にいて、それからも俺を名乗る奴は日に日に増えていった。
他人と接することにうんざりしていた俺は、自分をまったく同じ意見を持つ俺らに好感を抱き、
世界が俺でいっぱいになればいいのにと思うようにすらなった。
けれど、都合のいい俺ばかりではなかった。
次第に増殖していった俺ら同士での対立と、互いを攻撃し合う削除によって俺らだけの世界はあっさりと危ういものとなる。
俺俺時代、ね。
アイデンティティの崩壊とでもいうのか。
極端な話にも思えるけど、誰にでも起こりうる可能性はある気もする。
表紙の絵を描かれた人も若くして亡くなったし、なんだか意味深。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2017
- 感想投稿日 : 2017年12月14日
- 読了日 : 2017年12月14日
- 本棚登録日 : 2017年12月14日
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