日々の100

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本棚登録 : 576
レビュー : 67
著者 :
trade-windさん monoモノ物=雑貨・手土産から家まで、衣食住関連   読み終わった 

本書は、著者・松浦弥太郎さんが、日常生活の中で愛用しているモノを100選んで、そのモノとのつきあい方や出合い、想いや記憶を、自由に綴ったエッセイ。

エッセイといえば、本書の71番目のモノ「岩本素白の随筆」の項で、エッセイと随筆の違いが書かれていたとあった。
随筆とは、本当にあった出来事の見聞や感想を自由に描いたもの。エッセイとは、出来事の描写ではなく、書き手のパーソナルな心の様子を描いたもの、告白的なものであるということだ。
すると、本書はエッセイでよいと思う。

さて、それでは最も興味を惹かれた1品はというと、実は、紹介された100のモノのどれよりも、最後の1ページに書かれていた、「僕のこと」という著者の半生が一番心に残ったのだ。
イメージとはずいぶんと違っていて、青春ドラマのダイジェストを見る思いがしたから。大変だったんだろうけど楽しそうで、なぜかとても心が浮き立った。

著者・松浦弥太郎さんは、2006年に、雑誌『暮らしの手帖』の編集長に就任。現在、書店主をはじめ、様々な雑誌への寄稿、著書出版、編集業、写真展開催など、広く活躍されているそうだ。

とはいえ、もちろん100のモノたちもとても魅力的。著者の生き方の基本や方向性のようなものが窺えるモノばかり。そのあたりのことは、24番目の「『暮らしの手帖』と生活系雑誌」の項を読むとよくわかる。
美しい暮らしとは? 豊かさとは? の考察。
新しいモノ、新しい情報、新しい雰囲気を、今すぐ暮らしの中に取り入れることが豊かさではない。豊かさとは、目に見えるモノや、あるもの、出来事、そういったもの自体に求めるものではなく、それら現実の後に潜む、物語であったり、心持ち、知恵などに見出せるのではないだろうか。

そんなところに感心しながら読んでいたら、ここで紹介されたモノを見る目が変わってきたように思えた。少なくとも、『暮らしの手帖』編集長と同じものだとか、有名人の愛用品だとかといったミーハー的興味だけでモノ選びをするのは、真の豊かさではないし、美しくもないと思った。

レビュー投稿日
2009年8月17日
読了日
2009年8月16日
本棚登録日
2009年8月17日
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