【本の内容】
「荒療治ですが、裸を晒すということは、一度自分をリセットするのに打ってつけでした」
家族の愛情に飢えて育ち、底なしの寂しさを抱えてAVという世界にたどり着いた、あたし。
「人を好きになりたい」と過激なカメラの前に立つ。
人気AV女優が、自らの生い立ちを繊細な筆で綴った、ソウルフルな自伝の書。
[ 目次 ]
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思いを言葉にすることは難しい。
だが、50本以上のアダルトビデオに出演した人気女優はこの自伝の中で、確かな手応えのある言葉で、自身の思いを語ることに成功している。
たとえば中学時代、帰りぎわの学校の玄関で、好きな人とすれ違うだけで満足していた自分を、〈脳内自慰行為という安全圏からは離れられない。自分でこしらえた殻の中は温かい〉と振り返り、AV女優になって学んだことを、〈信じるには、まず先に覚悟することだ。そして諦めないこと〉としたためる。
その感性を育てたのは、彼女のまっすぐな生き方なのだろう。
過酷な撮影現場の描写には、目を背けたくなる部分もある。
が、仕事に誇りを持ち、全力を尽くす姿は美しい。
故郷・秋田で一度は決別した飲んだくれの父と東京で再会し、少しずつ許せるようになっていく様は、人生にふいに現れる希望の灯のようでもある。
懸命に生きようとする生身の人間の声が、そこに響く。
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
- 感想投稿日 : 2014年8月24日
- 読了日 : 2014年8月24日
- 本棚登録日 : 2014年8月24日
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