【本の内容】
摂食障害気味の女性作家「私」のパソコンに日々残されている意味不明の文章=錯文。
錯乱した状態の「私」が書き残しているらしいのだが…。
関係を持った編集者の「彼」とその婚約者の「彼女」をめぐって、「私」の現実は分裂し歪んでいく。
錯文の意味するものとは。
錯乱した「私」は正気の「私」に何を伝えたいのか。
孤独と分裂の果てには何が待つのか。
著者の大きな飛躍点となった第三長編。
[ 目次 ]
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人間の脳は「指を曲げる」といった随意運動が意識的に開始される約一秒くらい前に、既にその準備となる無意識の活動を始めているのだそうです。
じゃあ、その無意識の活動を始めようとするのは「私」以外の何なのか?
「私」という存在が自由意志によって行っていると思っているいろいろな行動も、実は脳内の何かによって決定されているのでしょうか?
そういったことで言うと、本作で錯乱状態の「私」が書き残す「錯文」も、「私」という意識以外の何か別のものが書いているとしても不思議ではありません。
本作では自分が分裂していく感覚をアミービックと表現していますが、このような感覚というのは主人公の肉体にも関係しているのかも知れません。
サプリメントと漬物以外はほとんどものを食べない主人公。
減量中のボクサーの五感が鋭敏になっているのに似ているような気がします。
「蛇にピアス」よりはこちらの方が好きなタイプの作品でした。
「蛇にピアス」があわなかった人も読んでみてはどうでしょうか。
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
- 感想投稿日 : 2014年8月23日
- 読了日 : 2014年8月23日
- 本棚登録日 : 2014年8月23日
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