野草 (岩波文庫 赤 25-1)

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本棚登録 : 39
レビュー : 3
著者 :
制作 : 竹内 好 
transcendentalさん 東洋文学   読み終わった 

"沈黙しているとき私は充実を覚える。口を開こうとするとたちまち空虚を感じる。"(「題辞」)この言葉に付け加えることは何も無い。

"絶望は虚妄だ、希望がそうであるように。"(「希望」)一読すると、世界に於けるそして自己に於ける虚無への諦観を思わせる静かで苦い言葉だ。しかし実際の魯迅は、虚無を自己の内外に感じつつも断固として「希望」を「青春」を再び探し出そうとしており、当時の青年たちが虚無のアパシーに陥ったまま安んじている現状に対して怒っている、彼らは希望を抱くどころか絶望すらしていないのだと。希望を虚無とする以上、絶望だって虚妄だ。にも拘らずその上で魯迅は「希望」を求めようとする。この反語的な構えはトーマス・マンやチェーホフを思わせる。しかし魯迅のこの文章を読んだときには、何故か僕は、虚無への諦観にこそ共感しそうになった。魯迅の抱こうとしている政治的な「希望」が、安直で、否定すべき対象であるように感じてしまう。政治に対する・具体性に対する、忌避。

レビュー投稿日
2011年3月26日
読了日
2008年9月19日
本棚登録日
2011年3月26日
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