20世紀イギリスの作家ロアルド・ダール(1916-1990)の短編集。
ミステリというが、謎解きではない。かといって「奇妙な味」というのも雑な分け方であるように思う。皮肉っぽい余韻を残した読後感が多い。英国的といってしまえば、なおさら粗い括りになってしまうか。読んでいて惹き込まれていく作品もあるが、その先が切り捨てられたまま投げ出されている印象であり、読んでいて不全感が残る。そうした不全感自体が魅力に転化しているというわけでもない。
「味」「プールでひと泳ぎ」「皮膚」はそこそこ面白かった。
「誰かが巨大な風船を膨らませていて、今にも眼の前で破裂するのがわかっているのに眼がそらせない。そんな気分だった」(p249)。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
イギリス文学
- 感想投稿日 : 2020年12月23日
- 読了日 : 2020年12月23日
- 本棚登録日 : 2020年12月23日
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