新潮文庫の「ファウスト」は読んだけれど、森鴎外の訳は初読でした。やっぱ久しぶりに読むと面白いな~。なんか、讃美歌だかキリストのお祈りの文句?を、お経的な感じで翻訳してるところは、なるほどなーと感心した。たしかにこれは、明治人の読み物としてはカルチャーギャップがありすぎるよね。
前編は、メフィストの魔術で若返ったファウストが、町娘のグレートヒェンと恋愛します。これで幸せに終わればよかったのに、グレートヒェンの兄を殺し、母を殺させ、しまいにはグレートヒェンを、はらませてしまう。はたから聞くと、ダメンズっつーか「なんだこの男?!人間のクズやん」ですが、真面目で高尚すぎる精神をもつファウストの苦悩たるや。そこが見ものなんですな。ブロッケン山での、魔女やら魑魅魍魎、上から下へ入り乱れてのお祭り騒ぎは単にひたすら楽しかったです。
後半は、なんかもう非哲学人の私にはちんぷんかんぷんでしたが(何年か前に初読したときも同じこと思ったw成長してない)、思想の応酬とか、宗教的な議論が中心です。
神話の神々が自分の性格に基づいた持論を展開してます。あんまり神話詳しくないから、このへんは「へーそーなんだー」と読み流した。
で、ファウストの魂は(なんやかんやあって)天の同情を買って、結局天使に救われるのですが(すっごいご都合主義だよね?!)、いわく、努力するものは救われる云々…。
メフィストが天使をみて、「めっちゃ嫌いだけどめっちゃかわいい。キスしたい」とか言ってるのには少し萌えた(笑)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
近代文学
- 感想投稿日 : 2016年1月15日
- 読了日 : 2016年1月15日
- 本棚登録日 : 2016年1月15日
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