起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡

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  • 文藝春秋 (2020年4月10日発売)
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USEN社長の宇野康秀さん。インテリジェンスの創業者であり、また大阪有線の創業者の2代目でもあるという事で知っていたが、そうした略歴では当然計り知れない壮絶な人生を歩んでいる方。

本書の主題である宇野さんを語る上で欠かせない人物として出てくるのが実父であり従業員1万人の大企業、大阪有線を築き上げた創業者の宇野元忠である。若い頃は仕事一筋で家庭を顧みない父親と反りが合わず距離があったという。しかし、結果的に父親と起業の道を歩み、最後にはガンで余命3ヶ月の告知を受けた病床の父から頼まれて大阪有線を継いだ。

夜中にでも会議を開くという宇野の経営者としての姿勢は父親の影響は大きい。モーレツに働く父に対して、「あんた社長なんやろ?社長のあんたが休みの日もなんで働かにゃあかんの?社員に任せたらええやん」と母親がとかけると、「何をアホなこと言うとるんや。ワシよりも働くもんがおったらそいつが社長や」と。この言葉は宇野の頭の片隅にずっとああったという。この言葉は本書の中で2度引き合いに出されているが、経営者という仕事の困難さを表す上で言い得て妙であり、最も印象に残る逸話である。

父親から引き継いだ事業は大きな問題を抱えていた。有線ケーブルがNTTや電力会社の電柱に不法に設置されたものであり、その違法な状態を数百億の資金を掛け、全国の社員総出で正常化を1年で成し遂げている。単なるボンボンの2代目というイメージを持っている人も多いと思うが、気骨のあるかつ正義感の強い稀代の経営者である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2023年2月25日
読了日 : 2023年2月25日
本棚登録日 : 2023年2月25日

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