メキシコからの手紙: インディヘナのなかで考えたこと (岩波新書 黄版 116)

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  • 岩波書店 (1980年4月21日発売)
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著者がインディヘナ側にいつも立とうとしている良心にがすばらしくて読ませる。その良心から見たウエフットラのインディヘナでの暮らしの本。絶版みたいだけど、もっと名作として読まれてもいいのでは。

たとえば、お医者さんがまったくいないインディヘナの50の村々から100人女の人を集めて医者にする学校をつくったときは、閉鎖的な村から女性をだすのは反対されるかと思ったらみんな大歓迎で、卒業式は家族が誇りにおもって迎えにきただとか、高等教育になっちゃってたモンテッソーリ教育をナウア語でやるための先生を育てるとか、バイオリンを教えてあげるとか、異なる文化を持つ人と尊敬を持って交流することの難しさと楽しさが伝わってくる。

メキシコに旅した時に疑問に思った、
「なんでこの国、こんなに先進国に見えるのに貧しいんだろう(物価が日本と同じくらいなのに、平均月給が月に6万円くらいらしい)」
「なんでこの国、旅してみるとこんなに安全なのに危険だ危険だって言われるんだろう」
の答えが分かる。
一部の上流階級の人たちだけが豊かで、中産階級のメスティソも貧しく、虐げられたインディヘナたちは想像を絶するほどもっと貧しい。1500年代から続くこの構造が、特に支配層も、時には人を殺して支配してたりして、真の意味でまだ貧しいから、その貧しさの連鎖から抜け出せないんだろう。あと、地形と言語。山が多くて高いし、細かい言語がたくさんあるから、教育が行き届かない。先祖代々続く支配されてきた歴史と、言語と地形の問題がメキシコは大きすぎる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年1月8日
読了日 : 2018年1月8日
本棚登録日 : 2018年1月8日

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