ルソーという奇才画家をめぐり、見果てぬ夢に人生を絡め取られた人々の物語。
ある富豪の策略に導かれ、隠れたルソー作品の真贋を巡って対決することになる、アメリカ人男性キュレーターと日本人女性研究者。
ルソー研究者である2人は、ルソーの隠れた作品と真実に迫る瞬間に深く陶酔しつつ、好敵手同士だけがわかる絆を深めながらも、それぞれの事情の為に不安に苛まれています。
そんな彼らの対決を利用しようとする人々もたくさんいて…。
そして、時間軸を異にした、奇才ルソーを見い出した不世出の天才画家と1組の夫婦の物語。
各人の思惑と時間軸が交差した時に明かされる真実とルソーを敬愛してやまない2人のそれぞれの決断、そして、未来の物語の後味の良さはさすがマハさん、という感じです。それから、彼女の美術を扱う作品では、美術作品を資産(金)としてしかとらえてないような一種の憎まれ役が出てくる点もこの方らしい。
恋愛と美術ミステリーがうまくミックスされていますね。そして、作品をめぐる最大の真実は闇の中へ…。
ただ、マハさん自身の某過去作と構成がものすごく似ており、それを昔読んでしまっていた身としては、ラストが途中でなんとなくわかってしまったのはちょっと残念でした…。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
恋愛小説
- 感想投稿日 : 2015年6月2日
- 読了日 : 2015年6月1日
- 本棚登録日 : 2015年6月1日
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