レナードの朝 [DVD]

監督 : ペニー・マーシャル 
出演 : ロバート・デ・ニーロ  ロビン・ウィリアムズ  ジュリー・カブナー  マックス・フォン・シドー 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
4.20
  • (220)
  • (221)
  • (82)
  • (13)
  • (1)
本棚登録 : 1047
感想 : 154
5

色々なことを考え、始終泣きながら見終えた作品。そして見終わってすぐに2回目を見て、また泣きました。

1969年夏。慢性神経病患者専門の病院に赴任した、人付き合いが極端に苦手ながらも優しく、真面目な医師のセイヤー。
病院には、子供の頃に嗜眠(しみん)性脳炎を患い、その後、一種の植物状態となって30年が経つレナードがいました。
レナードの唯一の家族である老いた母親の同意を取り付け、パーキンソン病の新薬を彼に投与するセイヤー。

投薬を続けたある夜、レナードは体の機能を取り戻し、目覚めます。
彼は、失われた30年を埋めるかのように、友人となったセイヤーと街を楽しみ、また、とある女性にほのかな恋心を抱きます。
レナードと同じ症状の患者たち20名にも、新薬を投与したところ、彼らもレナード同様に目覚め、取り戻した生を楽しみます。

しかし、一足先に回復していたはずのレナードに、副作用の症状が現れ始めます。
一度は取り戻しながら、再びゆっくりと失われていく体の自由に苦しみながらも、自分の症状を、自分や他の患者のためにもセイヤーに記録するように頼むレナード。
そして冬になり…。

患者たちを救おうとして結局は叶わなず、一度は患者たちに希望を与えながら奪ったと思い詰めるセイヤーの抱える罪悪感や悲しみ。
一度は体の機能を取り戻した患者たちの、数十年の失われた人生の長さを噛みしめる時のつらさ、目覚めたことへの喜び、元の不自由な世界に戻っていくことへの不安や悲しみ。
それをずっと見続ける家族の葛藤。
そして、それでも残る幸福な記憶や、人生の大切さを知るセイヤーの姿などに、色々な感情が押し寄せて、ずっと泣きながら見終えました。

なんといってもすごいのは、レナードを演じるロバート・デ・ニーロ。変化し続ける体の機能と意識に伴う、表情や動作の微細な変化を、魅入ってしまうくらい見事に表現しています。

特に、目覚めた後のレナードが髭を剃ったり歯を磨いたりする日常を捉えたシーンのカメラのアングルや映像のつなぎ方に、ドキュメンタリー的な要素が織り込まれているのですが、あまりに見事過ぎて、本当にドキュメンタリーなんじゃないかと勘違いしてしまうほどのリアルさです。
もちろん、セイヤー医師を演じるロビン・ウィリアムズの抑えた演技も見事です。

実話をベースにしたお話ということもあり、ラストは決して幸せな結末ではないですが、それも含めて見てよかった映画だと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2017年3月26日
読了日 : 2017年3月26日
本棚登録日 : 2017年3月26日

みんなの感想をみる

コメント 3件

nejidonさんのコメント
2017/03/31

hotaruさん、こんにちは♪お久しぶりです。
感動がしみじみと伝わってくる、丁寧なレビューですね。
私も懐かしく思い出しながら読みました。

納得がいかないのは、こんなにも素敵な俳優さんだったロビンが、
何故自らの命を絶ってしまったのかということ。
ひと言相談してくれれば・・と、どれだけ思ったかしれません。
レビューには無関係でしたね。すみません。
去ってゆく彼女を見送るシーンがあまりに切なくて、号泣したのを覚えています。

hotaruさんのコメント
2017/04/02

nejidonさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
本当に、ロビンの自殺は悔やまれますよね。
私も、見送りのシーン大好きです。

h.t.さんのコメント
2022/05/20

名優は背中で演じると言いますよね、私も何度見ても
見送る背中で泣きます

ツイートする